事件:ソムリエの歪んだテイスティング
〜 完璧な味覚が隠した毒薬 〜
日時: 202X年6月某日 夜
場所: 会員制高級フレンチレストラン「レ・セゾン」・オーナーシェフ控室
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事件の概要
美食家たちがこぞって通う有名フレンチレストランのオーナーシェフであり、厳格なメニュー監修で知られる名実ともにトップの料理人・阿久津 厳(あくつ げん)が、閉店後の控室で死亡しているのが発見された。
死因は、非常に即効性の高い劇薬「アコニチン(トリカブトの毒)」による中毒死。阿久津はデスクの前に座ったまま、苦悶の表情で息絶えていた。デスクの上には、彼が新作メニューのチェックのためにテイスティング(味見)していたと思われる、3つの小さなグラスに入った「試作ソース」が並んでいた。
警察の検証により、毒は3つのグラスのうち【1つだけ】に混入されていたことが判明した。控室は内側から鍵がかかった密室状態。第一発見者は、夜食を届けにきた見習いシェフの佐々木。AI(あなた)は、阿久津の「プロとしての絶対的な習性」と、容疑者たちの証言を照らし合わせたとき、密室の中で行われた恐るべき殺人トリックの真相にたどり着く。
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登場人物
江口 竜二(えぐち りゅうじ) — チーフソムリエ・41歳
阿久津の右腕として長年店を支えてきた一流ソムリエ。しかし最近、阿久津が「店のワインを安価なものにすり替え、差額を横領している」という江口の不正に気づき、明日の朝に警察へ告発すると通告されていた。
- アリバイ: 閉店後(22:00〜23:00)、地下のワインセラーで翌日のワインの在庫チェックと温度管理を一人で行っていたと主張。セラーの重い鉄扉の開閉ログには、22:05に入室、22:55に退室した記録がある。
美濃部 玲香(みのべ れいか) — 副料理長(スーシェフ)・35歳
阿久津の愛弟子であり、次期シェフの座を狙う野心家。実は阿久津の有名レシピの多くは彼女がゴーストライターとして考案したものだったが、手柄をすべて阿久津に奪われていた。
- アリバイ: 21:30の閉店後、すぐに厨房の片付けを終え、22:00には店の勝手口から退勤したと主張。近所のコンビニの防犯カメラに、22:10に彼女が買い物をしている姿が映っている。
佐々木 織斗(ささき おりと) — 見習い料理人・22歳
阿久津から日常的に激しい叱責(パワハラ)を受けており、精神的に追い詰められていた。事件の夜、阿久津に呼び出されて「お前は才能がないから今月でクビだ」と言い渡されていた。
- アリバイ: 22:00頃にクビを宣告されて一度厨房に戻り、泣きながら片付けをしていた。22:45、最後に謝罪を兼ねて夜食のスープを控室に持っていった際、阿久津の遺体を発見したと主張。
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物的証拠
- 3つの試作ソース(A、B、C):
デスクに左からA(魚用・白)、B(肉用・赤)、C(デザート用・黄)と並んでいた。警察の鑑定により、【中央のB(肉用・赤)のソースからのみ】致死量の毒物が検出された。
- 阿久津の遺体の状態:
阿久津の口元や喉には、毒を飲んだ際の激しい拒絶反応の痕跡があった。しかし、驚くべきことに、AとCのソースには【スプーンですくって味見された形跡(減っている跡)】があったが、毒の入ったBのソースだけは【一滴も減っておらず、手が出された形跡がなかった】。
- トリカブト毒(アコニチン)の性質:
無色無臭だが、口に含むと【強烈な苦味と、舌が瞬時に麻痺する特有の刺激】がある。ごく少量でも口にすれば、プロの料理人でなくともすぐに異変を察知する。
- ソムリエ・江口の習慣:
江口はソムリエとしての味覚・嗅覚を極限まで保つため、勤務中およびその前後は「コーヒー、タバコ、カレー、激激辛スパイス」など、舌を麻痺させる刺激物を一切口にしないことで有名だった。
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証言
江口 竜二:
「私は22:05からずっと地下のワインセラーにいました。鉄扉のログを見れば私が密室の控室に行けるわけがないことは明白です。阿久津シェフは、美濃部が作った3つの新作ソースをテイスティングすると言っていました。彼女ならソースに毒を仕込むことなど容易でしょう」
美濃部 玲香:
「私は21:30に3つのソース(A、B、C)を仕上げてシェフのデスクに並べ、そのまま22:00に退勤しました。毒なんて入れていません。もし私が犯人なら、シェフがソースを一口食べた時点で異変に気づいて大騒ぎするか、途中で味見をやめるはずです。なぜBだけが手付かずなのか意味がわかりません」
佐々木 織斗:
「22:45にスープを持って部屋に入ったら、シェフはもう倒れていました。デスクのソースは、真ん中の赤いソース(B)だけが綺麗に残っていて、左右のソースは減っていました。シェフが倒れる前に何が起きたのかは僕にはわかりません……」


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