深夜のコミットログ

# 事件:深夜のコミットログ
## 〜 開発サーバーに残された足跡 〜

**日時**: 2026年6月某日 金曜日 深夜
**場所**: インディーゲーム開発チーム「スタジオ・アルファ」のオフィス

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## 事件の概要

金曜日の深夜、開発チームのリーダーである一ノ瀬 拓海(いちのせ たくみ)が、オフィスのデスクで死亡しているのが発見された。死因は、デスクにあった缶コーヒーに混入された即効性の毒物による中毒死。

発見されたのは翌土曜日の朝、定期見回りに来た警備員によるものだった。一ノ瀬は現在、チームで開発中の新しいWordPressプラグイン「Smart Access Control v4.0.0」のリリースを週明けに控えており、連日深夜まで1人でオフィスに残って最終調整を行っていた。

死亡推定時刻は金曜日の22:30〜23:30の間。オフィスの出入り口は最新のスマートロックで管理されており、誰がいつ入退室したか、あるいは内側から鍵が開けられたかどうかがすべてログに記録されていた。警察は、この時間帯に動機を持つチーム関係者4人に絞って捜査を開始した。

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## 登場人物

### 二宮 蓮(にのみや れん)— メインプログラマー(20代)
一ノ瀬とは、プラグインの仕様やAIコーディングツールの導入を巡って激しく対立していた。自分の書いたソースコードの実績を一ノ瀬に横取りされたと深く恨んでいた。
**アリバイ**: 22:00に退社したと主張。その後は自宅に戻り、23:30に自宅からリモートで開発サーバーにバグの修正コードをコミット(送信)していたため、犯行時刻にはオフィスにいなかったと主張している。

### 三島 葵(みしま あおい)— UI/UXデザイナー(30代)
一ノ瀬から日常的に執拗なパワハラを受けており、精神的に追い詰められていた。今回のプロジェクトが終わったらチームを解雇すると通告されていた。
**アリバイ**: 22:30にオフィスを退社。その後は深夜1時まで近くの漫画喫茶の個室に1人でいたと主張しているが、領収書は紛失したと言っている。

### 四方 健介(よも けんすけ)— 出資者・サウンドクリエイター(40代)
プロジェクトに多額の原資を出資していたが、一ノ瀬が開発資金を私的に流用していることに気づき、激しい金銭トラブルになっていた。
**アリバイ**: 23:15頃、オフィスに忘れ物(ヘッドホン)を取りに戻ったことを認めている。「一ノ瀬の部屋の明かりがついていたが、忙しそうだったので声をかけずに5分ほどで立ち去った」と供述。

### 五十嵐 結衣(いがらし ゆい)— テスター・総務(20代)
一ノ瀬の元恋人。最近、一ノ瀬から一方的に振られ、チームからも追い出されそうになっていた。
**アリバイ**: 22:15に一ノ瀬に夜食の差し入れとして「缶コーヒー」を渡した後、すぐに終電(22:45発)に乗るため駅へ向かったと主張。

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## 物的証拠

- **毒入りの缶コーヒー**: 一ノ瀬のデスクに置かれていた。五十嵐が差し入れた未開封だったはずのブランドで、飲み口の周囲から毒物が検出された。
- **スマートロックの入退室ログ**:
  - 22:15 【五十嵐 結衣】アプリ解錠(退出)
  - 22:30 【三島 葵】アプリ解錠(退出)
  - 23:15 【四方 健介】アプリ解錠(入室)
  - 23:25 【四方 健介】アプリ解錠(退出)
  - 23:45 【内側サムターン(つまみ)による解錠】(※内側から手動で開けられたため、誰が操作したかの名前は記録されない)
  - (※二宮は22:00に他の退社する業者と一緒にゲートを出たため、自身のアプリによる退出ログはないと主張している)
- **開発サーバーのコミットログ**: 23:30に、二宮のアカウントから「修正コードのコミット(アップデート)」が正常に実行されている。
- **ネットワーク仕様書**: セキュリティ保護のため、オフィスの外部(自宅など)から開発サーバーへアクセスしてコードをコミットするには、専用の暗号化された「VPN(仮想プライベートネットワーク)」を経由しなければならない仕様になっている。
- **サーバーのアクセス詳細ログ**: 23:30に行われた二宮のコミット時の接続元情報を解析したところ、VPN経由の外部IPアドレスではなく、**「オフィス内LAN(有線接続)」のローカルIPアドレス**から直接アクセスされていた。

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## 証言

**二宮 蓮**:
「私は22:00にオフィスを出て、23:00前には自宅に着いていました。一ノ瀬さんから『週明けのリリースに向けて、残ったバグを今日中に家からリモートで直してサーバーに上げておけ』と指示されていたんです。言われた通り、23:30に自宅のパソコンからVPNを繋いで修正コードをコミットしました。それ以降のことは何も知りません。」

**三島 葵**:
「22:30に私が帰るとき、オフィスには一ノ瀬さんしか残っていませんでした。悔しいけれどアリバイを証明できるものは何もありません。でも、私はプログラミングなんて全くできないので、23:30にサーバーを操作することなんて不可能です。」

**四方 健介**:
「忘れ物を取りに23:15にオフィスに戻ったのは事実です。ログの通り23:25には出ました。一ノ瀬の部屋の明かりはついていましたが、音楽を聴きながら作業をしている様子だったので、揉め事になるのも嫌だし、声をかけずに自分の荷物だけ持ってすぐに出ましたよ。」

**五十嵐 結衣**:
「22:15に彼に缶コーヒーを渡してすぐに出ました。スマートロックのログが証明してくれているはずです。彼が私をチームから追い出そうとしていたのは事実ですが、殺してなんていません。」