事件:鎌倉の封印
〜 白紙の告発状 〜
日時: 20XX年11月某日 夜
場所: 鎌倉市・柏木邸(洋館)
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事件の概要
著名な推理小説家・柏木 誠一郎(68)が、
鎌倉の自宅洋館の書斎で死亡した。
死因は服毒。傍には飲みかけのウイスキーグラスと、
書きかけの原稿用紙が残されていた。
遺体と共に発見されたのは、デスクの上に置かれた1通の封筒。
封筒の表面には、本人の筆跡でこう書かれていた。
> 「犯人の名前はここにある」
しかし封筒を開けると——中身は白紙だった。
警察は当初「自殺」と判断したが、
胃の内容物から検出された毒物の量は
「自ら摂取するには多すぎる」と法医学者が指摘。
他殺の疑いで捜査が始まった。
発見時、邸内には5名がいた。
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登場人物
柏木 真理子(かしわぎ まりこ)— 妻・60代
誠一郎の妻。結婚歴35年。
夫の遺体発見時、一階のリビングでワインを飲んでいたと証言。
夫の死に際して涙を一切見せず、
翌朝には早々に弁護士へ連絡していた。
夫との間には長年の不仲説があり、
半年前から別居状態だったが「話し合いのため」に一時帰宅していた。
柏木 蒼(かしわぎ あおい)— 息子・28歳
誠一郎の一人息子。東京在住のフリーター。
「父の具合が悪いと聞いた」と当日午後に帰省。
父とは2年間ほぼ絶縁状態で、
金銭的なトラブル(父に借金を断られた)が背景にある。
発見時は自室で寝ていたと主張するが、
誰にも確認されていない。
能登 結衣(のと ゆい)— 担当編集者・34歳
柏木担当の編集者。
「最後の原稿の確認」を名目に来訪。
夕食後、誠一郎と二人で書斎にこもっていた。
21時ごろ「原稿は預かれなかった」と言い残して退席。
帰宅後も繰り返し「原稿を渡してほしい」と遺族に連絡してきている。
久我 徹(くが とおる)— 旧友・65歳
誠一郎とは40年来の友人で、同じく推理作家。
「たまたま鎌倉に来ていた」と当日夕方に訪問。
かつて同じ新人賞の最終選考に残ったライバルだが
(誠一郎が受賞し、久我は落選)、
表向きは仲睦まじい関係。
夕食後は一階の応接間で独り読書をしていたと証言。
御子柴 葵(みこしば あおい)— 家政婦・44歳
住み込みで10年間仕えてきたベテラン家政婦。
夕食の準備・給仕をした唯一の人物。
ウイスキーのグラスに触れられる立場にあった。
夫が昨年失業し、家計が逼迫していることが後日判明。
「先生にはとても感謝していた」と涙ながらに語る。
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物的証拠
- ウイスキーグラス: 誠一郎のグラスからのみ毒物検出。
ボトルや他の人物のグラスには毒なし。
グラスには誠一郎の指紋のみ。他の指紋は拭き取られていた。
- 書きかけの原稿: 最後の一文は途中で途切れている。
内容は推理小説の一場面だが、登場人物名が実在の人物に酷似している——
「編集者のノトという女が、長年にわたって……」
以降は書かれていない。
- 封筒: 誠一郎本人の筆跡と鑑定済み。
封筒に封はされておらず、フラップが開いた状態で置かれていた。
白紙の用紙が1枚入っていたが、紫外線照射では何も浮かばなかった。
- 書斎の鍵: 内側からロックされており、
能登が退室した後に誠一郎自身がかけたと推定。
翌朝、御子柴がマスターキーで開錠して遺体を発見。
- 毒物: 睡眠薬の過剰摂取。邸内の薬箱に
「残数が合わない」錠剤の瓶が見つかった。
薬箱の場所を知っていたのは、家族と御子柴のみ。
- 誠一郎のスマートフォン: ロックされており解除不能。
しかし着信履歴の最後(19:44)は「ノト」からの着信だった。
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証言
真理子:
「あの人が何を書いていたか、私は知りません。
夫婦といっても最近は他人同然でしたから。
ただ……あの封筒、昨日の昼には書斎になかった。
夕方以降に用意したはずです」
蒼:
「お金の話は関係ない。久しぶりに父の顔が見たかっただけです。
原稿?能登さんがずっと欲しがってたのは知ってる。
父も渡す気はないって言ってた。何か揉めてたんじゃないですか」
能登:
「先生の最後の原稿には、私の……個人的な過去が書かれていました。
事実無根の内容です。だから削除をお願いしに来ました。
でも先生は聞いてくれなかった。21時に書斎を出た時、
先生は生きていました。それだけは確かです」
久我:
「誠一郎は元気そうだったよ。ただ少し……興奮していた。
『今夜、ある人物に引導を渡す』と言っていた。
誰のことかは教えてくれなかったけど」
御子柴:
「21時半ごろ、書斎の前を通ったとき、鍵がかかっていました。
珍しいと思ったけど、先生が篭もって書いていると思って。
ウイスキーのグラスは……夕食後に先生ご自身でお部屋に持っていかれました。
私は書斎には入っていません」
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あなたへの質問
犯人は誰か?
白紙の封筒の意味は何だったのか?


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